歯が抜けても差し歯はできる?|差し歯が可能な条件とできない場合の治療を徹底解説
知らないと損する“差し歯の条件”を徹底解説**
「歯が抜けたけど、差し歯にすれば元通りですよね?」
患者さんからよくいただく質問です。しかし——ここに大きな誤解があります。
実は、歯が完全に抜けてしまった状態では差し歯(被せ物)はできません。
差し歯とは、あくまで “自分の歯の根っこ(歯根)が残っている” ことが前提の治療だからです。
では、どんな状態なら差し歯ができるのでしょうか?
そして、差し歯ができない場合はどう治療するのでしょうか?
今回は、患者さんから最も多い疑問について、できるだけ分かりやすく解説します。
1. 差し歯とはどんな治療?まずは本当の意味を知りましょう
一般的に“差し歯”と言われると、
歯をまるごと失った時に入れる人工の歯のイメージがあるかもしれません。
実際には自分の歯が完全になくなると「差し歯」はできません。
専門的には、差し歯とは次のような治療のことを指します。
● 差し歯(クラウン)=残っている歯の根っこに土台を立て、人工の歯を被せる治療
つまり、
- 自分の歯の根っこがある程度残っている状態
- 根っこが割れたり、グラつきがなくしっかりしている状態
この2点が大前提になります。
👉 歯が抜けた=根っこも失われた状態では、差し歯は不可能
👉 入れ歯やブリッジ、インプラントなど別の治療が必要
ここを誤解されている方が実はとても多いのです。
2. 差し歯ができる条件は?
—差し歯に必要なのは“歯根”と“歯質(歯の残り)”—
歯の上の部分(歯冠)が大きく欠けてしまっても、歯の根っこ(歯根)が残っていれば差し歯にできる可能性があります。
差し歯が作れるか判断する基準は主に次の3つです。
① 歯根が残っていること
差し歯は歯根が土台です。
歯根がなければ柱が立てられないため、差し歯を作ることができません。

② 歯根がしっかりしていること
- 歯周病でグラグラしている
- 根が割れている
- 根が短すぎる
このような場合は土台が安定せず、差し歯にしても長持ちしません。
差し歯の治療における歯の根っこの状態は、住宅でいう基礎の部分になります。
グラグラした根っこの上に差し歯の治療をするということは、沼地に住宅を建てるようなものですし、
歯が割れてしまっているところに差し歯治療をするということは、基礎がシロアリにやられてしまっているのにそのまま上に新居を作ってしまうということになります。
この状態では長持ちしないのは当然ですよね。。
③ 歯の残り(歯質)が最低限あること
差し歯は根っこに“土台(コア)”を立て、その上に被せ物を装着します。
歯の残りが全くない場合、差し歯が保持できないため、別の治療になることがあります。
専門的な話でフェルールというどれくらい歯が残っていてルカの診断基準があるのですが、
私の持っている診断基準としては、歯茎から見えている歯根の高さが1.5mm程度、コアを形成した後に全周にわたって1.5mm程度幅がある場合に、ある程度壊れずに歯を保存することができると思い抜歯の判定基準にしております。
この診断基準は先生により様々だと思いますし、条件によっても変わってきますので、あくまで目安として知っておいて下さい。
**3. 差し歯の構造は?
—「土台(コア)」が重要な役割を果たします—
差し歯は、
- 歯根(自分の歯)
- コア(芯となる土台)
- クラウン(被せ物)
の3つで構成されます。

今回は特に、治療の成功に大きく関わる「コア」についてわかりやすく説明します。
**4. コア(土台)の種類と違いは?
—メタルコア・レジンコア・ファイバーコアの特徴—
差し歯治療では、歯根の中に“コア”という芯を入れて補強します。
このコアには主に3つの種類があります。
① メタルコア(金属の土台)
〔特徴〕
- 金属でできているため非常に強度が高い
- 保険診療で使われることが多い
〔メリット〕
- 強度が高く折れにくい
〔デメリット〕
- 金属が根の内部に強い力を加え、**歯根破折(歯の根が割れる)**のリスクがある
- 金属アレルギーの心配がある
- 歯ぐきが黒っぽく見えることがある
特に歯根破折になると、最悪の場合抜歯しか選択肢がないため注意が必要です。
私の場合、ほとんど歯が残っていない場合などにメタルコアを使用する場合があります。
もちろん歯根破折のリスクはありますが、そもそもメタルコアが必要と診断されるということは、次の治療の選択肢は抜歯しかない場合がほとんどですので、最後の砦といったイメージで治療しております。
② レジンコア(プラスチック製の土台)
〔特徴〕
- 歯科用プラスチックで作るコア
- 保険内で使用されることも多い
〔メリット〕
- 金属より柔らかく、歯根破折のリスクが低い
- 金属アレルギーの心配がない
〔デメリット〕
- 強度はファイバーコアに劣る
- 大きな力がかかる歯には不向きな場合がある
レジンコアができる条件は、ある程度歯質が残っている場合です。
歯根の上に最低限2壁できれば3壁歯質が十分に残っていれば、レジンコアで治療が可能だと思っています。
レジンコア単体の場合はほとんどご自身の歯の部分だけでも噛み合わせの力を受け止められるような状況のことが多いです。
### ③ ファイバーコア(繊維素材の土台)
〔特徴〕
- ガラス繊維などで作られたコア
- 現在もっとも推奨されるケースが多い
〔メリット〕
- 適度なしなりがあり、歯根破折を起こしにくい
- 被せ物(特にセラミック)と相性が良い
- 透明感があり、見た目がきれい
〔デメリット〕
- 自費診療になることが多い
耐久性と安全性のバランスが良いのがファイバーコアの特徴です。
特に前歯の見た目をきれいにしたい方には適した選択です。
ファイバーコアは白く審美性にも優れる反面強度は疑問が残る材質です。
ファイバー部分は折れていなくとも、周囲を固めるレジン部分が破断して差し歯が取れてしまっている症例を数多く見ております。
そのためファイバーコアが全てを差し置いて良いか?と言われるとそうとは断言できないと私は思っています。
**5. では、差し歯ができない場合は?
—歯根が残っていないときの治療法—
歯が大きく壊れていたり、完全に抜けてしまった場合、差し歯はできません。
その場合は次の3つの治療が選択肢になります。
① ブリッジ
失った歯の両隣の歯を削り、橋のように被せ物をつなげる治療。

〔メリット〕
- 固定式で違和感が少ない
- 比較的短期間で治療可能
〔デメリット〕
- 健康な両隣の歯を削る必要がある
- 将来的に削った歯が弱くなることがある
② 入れ歯(部分入れ歯)
取り外し式の人工歯。

〔メリット〕
- 治療費が比較的安い
- ほとんどのケースに対応できる
〔デメリット〕
- 違和感が出やすい
- バネが見えることがある
③ インプラント
人工の根っこを骨に埋め込み、その上に歯を作る治療。

〔メリット〕
- 周囲の歯を削らない
- 見た目・噛む力ともに本物の歯に近い
〔デメリット〕
- 外科手術が必要
- 自費診療で費用が高い
6. 差し歯ができるかどうかは、歯科医院の診断が必須です
差し歯ができるかどうかは、
- 歯根の長さ
- 歯根の状態(割れていないか)
- 歯周病の有無
- 土台の保持量
- 噛み合わせ
など、総合的な診断が必要です。
レントゲンや歯周病の検査をしたうえで、
「差し歯でいけるのか」
「抜歯が必要なのか」
「どの治療が長持ちするのか」
を判断します。
7. まとめ:差し歯は“残せる歯”にする治療。抜けた歯は別の治療が必要
最後にポイントを整理すると……
✔ 差し歯は“歯根が残っている”場合にできる
✔ 歯が抜けてしまったら差し歯は不可能
✔ コア(土台)は治療の成功に重要
✔ 差し歯ができない場合は
- ブリッジ
- 入れ歯
- インプラント
といった別の治療を選ぶことになる
歯が大きく欠けたとき、
「もう抜くしかないのでは?」
と思われる方も多いですが、歯根さえ残っていれば治せる場合がほとんどです。
気になる症状があれば、
まずは一度レントゲン診断を受けて、
「差し歯が可能かどうか」 をチェックしてみてください。
枚方市の北川歯科医院では、保険治療からセラミック・インプラントなどの審美歯科まで幅広く治療させていただいております。
ご自身のお口の中の環境をしっかりと理解することで、将来の健康を勝ち取ることができると思いますので、お気軽にご相談ください。


