前歯が折れた!原因と治療方法を歯科医が解説

前歯は食事や会話、見た目の印象に大きく関わるため、折れてしまうと強い不安を感じる方が多い歯です。「転んでぶつけた」
「硬いものを噛んだら欠けた」
「虫歯が進行していた」など、前歯が折れる原因はさまざまです。
今回の記事では、前歯が折れる主な原因状態別の治療方法、さらに応急処置や予防法まで、歯科医院の立場から詳しく解説します。


前歯が折れる主な原因

1. 転倒や事故などの外傷

前歯が折れる原因として最も多いのが、転倒やスポーツ、交通事故などによる外傷です。特に前歯は口の前方に位置しているため、顔から倒れた際に強い衝撃を受けやすくなります。
特にお子さまの場合、遊んでいる最中の転倒や友達の頭がぶつかった。などで前歯に外傷を受けるケースも少なくありません。
スポーツなどの場合特にラグビーやボクシングなどぶつかる可能性のある競技はマウスピースが必須の場合もあります。

2. 硬いものを噛んだ

氷、硬いナッツ、骨付き肉、せんべいなどを噛んだ際に、前歯に過度な力がかかり折れてしまうことがあります。本来、前歯は噛み切る役割があり、強く噛みしめる用途には向いていません。
元々前歯は奥歯に比べると薄い構造をしていますので、徐々にすり減っていたが、硬い食べ物や煎餅などでトドメを刺してしまうこともあります。

3. 虫歯や歯質の弱化

虫歯が進行すると歯の内部がもろくなり、わずかな力でも欠けたり折れたりします。見た目には小さな虫歯でも、内部で大きく進行していることもあり注意が必要です。
特に歯の根本の虫歯は歯の神経に非常に近く、知らない間に虫歯が進行して神経が傷んでしまっていることもあります。
虫歯は基本的に内部で進行していることが多いので、自分で気付かないうちに歯が悪くなっている場合があります。

4. 歯ぎしり・食いしばり

無意識の歯ぎしりや食いしばりは、歯に長期間大きな負担をかけます。その結果、歯にヒビ(クラック)が入り、最終的に前歯が欠けたり折れたりすることがあります。
自分では歯ぎしりや食いしばりをしている自覚のない方の方が多いのですが、実際に歯の形態やすり減り方、頬粘膜や舌の形などで歯ぎしりや食いしばりの有無を確認することができます。
歯ぎしりや食いしばりなどはマウスピースやボトックスなどで対処するのが良いでしょう。

5. 過去の治療による影響

神経を取った歯(失活歯)は、栄養が行き渡らなくなるため、健康な歯に比べて脆くなります。過去に治療した前歯が、年月を経て折れるケースも珍しくありません。
前歯の神経の治療を行うと歯の大部分を失うことが多いです。
その際に歯の土台の代わりになってくれるのが、「コア」と呼ばれるものです。
金属を使ったメタルコア、プラスチックでできたレジンコア、グラスファイバーを使うファイバーコア
これらを使用することによって、大きく失ってしまった歯の部分を被せ物で修復することができます。


前歯が折れたときの状態別治療方法

1. 少し欠けただけの場合

歯の先端がわずかに欠けた程度であれば、レジン(歯科用プラスチック)による修復で対応できることが多いです。
短時間で治療が完了し、見た目も自然に仕上がるのがメリットです。

2. 大きく欠けた・折れた場合

欠損が大きい場合は、以下の治療が検討されます。

  • レジン修復(範囲が限られる場合)
  • セラミッククラウン
    見た目の美しさや耐久性を重視する場合、セラミック素材が選ばれることが多く、前歯の審美治療に適しています。
    保険外治療になります。当院では1歯8万円〜
  • レジン前装冠
    保険治療で行うことのできる被せ物です。
    金属の内面の表面にプラスチックを貼り付けています。
    プラスチック部分の変色や汚れのつきやすさ、歯茎が下がった場合の金属色が見えるなどのデメリットがあります。

3. 神経が露出している場合

折れた部分から神経が見えている、または強い痛みがある場合は、**根管治療(神経の治療)**が必要になります。その後、土台を立てて被せ物(クラウン)で歯の形を回復します。

4. 歯根まで折れている場合

歯の根まで割れている場合、残念ながら抜歯が必要になるケースもあります。
抜歯後の治療としては、以下の選択肢があります。

  • インプラント
  • ブリッジ
  • 入れ歯

患者さまの年齢や口腔状態、ご希望を考慮し、最適な方法を選択します。

前歯が折れて抜歯になってしまった場合は、噛みにくいこともありますが、それ以上に見た目が悪いということが解決を優先させます。


ケースにもよりますが、保険治療で可能な欠損部の治療は
ブリッジか入れ歯となります。

ブリッジは両隣の歯をぐるりと削り、3つ連結した被せ物で欠損した部位を被せてしまう治療です。
そのためご自身で着脱したり、見た目が悪いということは避けられる一方、両隣の歯に負担がかかったり、虫歯になってしまうリスクがあります。

保険治療で作れる入れ歯は留め金が金属の針金でできています。
見た目がどうしても欠点となってしまいますし、
留め金をかけている歯は不潔になりやすく、虫歯や歯周病のリスクが高くなってしまいます。

保険外の治療になると
セラミックなどで作成するブリッジ・ノンクラスプデンチャー・インプラントが選択肢としてあります。

セラミックなどで作成するブリッジは着色や変色などはありませんし、適合精度も良く、汚れもつきにくいので、虫歯になるリスクが高まるというデメリットを改善させることができます。
ノンクラスプデンチャーは見た目の針金が金属ではなく、歯茎の色をしているので目立ちません。
インプラントは周囲の歯に影響を及ぼすことなく、治療が完了するため、難しいケースを除けば唯一デメリットがほとんどない治療と言えるでしょう。


前歯が折れたときの応急処置

  1. 折れた歯の破片があれば、乾燥させずに保管する
  2. 強く触らず、できるだけ早く歯科医院を受診する
  3. 痛みや出血がある場合は、清潔なガーゼで軽く押さえる

破片がある場合、状態によっては再接着できる可能性もあります。


前歯が折れるのを防ぐための予防法

  • 定期的な歯科検診で虫歯を早期発見
  • 歯ぎしりがある方はマウスピースの使用
  • 硬いものを前歯で噛まない
  • スポーツ時はマウスガードを装着

日頃のケアが、前歯のトラブル予防につながります。


まとめ

前歯が折れる原因は、外傷・虫歯・歯ぎしりなど多岐にわたります。折れた状態や症状によって治療方法は異なりますが、早期受診が歯を守る最大のポイントです。
前歯のトラブルでお困りの際は、我慢せず、ぜひお近くの歯科医院へご相談ください。