親知らずを放置すると起こる5つのリスク
~「今は痛くないから大丈夫」と思っていませんか?~
「親知らずがあると言われたけど、今は特に痛くない」
「抜くのが怖いし、そのままでも問題ないですよね?」
「過去に歯医者さんでいつか抜いた方がいいですよと言われた」
北川歯科医院ではこのようなご相談を受けることはとても多くあります。
結論から言うと、親知らずは“何も起こらなければ問題ない場合”もありますが、放置することで大きなトラブルにつながるケースも少なくありません。
この記事では、
親知らずを放置すると起こりやすい5つのリスクについて、
できるだけ、分かりやすく解説します。
そもそも親知らずとは?
親知らずは、正式には「**第三大臼歯(だいさんだいきゅうし)」**と呼ばれ、
10代後半~20代前半に一番奥に生えてくる歯です。
現代人はあごが小さくなっているため、
- まっすぐ生えない
- 途中までしか出てこない
- 横向き・斜めに生える
といったケースが非常に多いのが特徴です。
特に下顎の親知らずは生えてくる方向が横から生えてきて、スペースがあればまっすぐ生えるという萌出方向のため、手前の歯とのスペースがなければ、横向きや斜めで萌出が止まってしまうことが多々あります。
この「生え方の悪さ」が、さまざまなトラブルの原因になります。
リスク① 親知らず周囲が炎症を起こす(腫れ・痛み)
親知らずを放置して起こりやすいトラブルの代表が、
歯ぐきの炎症です。
特に、
- 親知らずが半分だけ出ている
- 歯ぐきがかぶさっている
この状態では、歯と歯ぐきのすき間に汚れが溜まりやすくなります。
例えば横向きに生えている場合は手前との歯の間に汚れがどんどん入り込んでしまうが、歯ブラシなどでお掃除することが困難なため、汚れが溜まります。
またまっすぐ生えていても、親知らずの後ろ側に歯茎がかぶっていたりすると、噛む面の凹凸部分の汚れがうまく清掃できずに、歯茎の炎症を惹起してしまいます。
すると、細菌が増えて
- 歯ぐきの腫れ
- 強い痛み
- 口が開きにくい
- 発熱
といった症状が出ることがあります。
これを「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」と呼びます。
一度落ち着いても、疲れたとき・免疫力が下がったときに何度も再発しやすいのが特徴です。
リスク② 親知らずや手前の歯が虫歯になる
親知らずは一番奥にあるため、
歯ブラシが非常に届きにくい歯です。
そもそも物理的に清掃ができないというケースもあります。
その結果、
- 親知らず自体が虫歯になる
- 親知らずの手前の「大切な歯」まで虫歯になる
というケースが多く見られます。
特に怖いのは、
**「親知らずはそこまで悪くないのに、手前の歯が大きな虫歯になってしまう」**こと。
手前の歯は、噛むうえで非常に重要な歯です。
親知らずがなければしっかり清掃でき、虫歯を予防することができたかもしれませんが、
親知らずを放置したことで、
本来守れたはずの歯を失ってしまうこともあります。
リスク③ 歯並びや噛み合わせに悪影響が出る
「親知らずが生えると歯並びが悪くなるって本当ですか?」
と聞かれることがあります。
必ずしも全員ではありませんが、
横向き・斜めに生えた親知らずが、
手前の歯を押してしまうケースは確かに存在します。
その結果、
- 前歯がガタガタしてくる
- 噛み合わせが変わる
- 顎が疲れやすくなる
といったトラブルにつながることがあります。
もちろん親知らずだけが噛み合わせや歯並びを変化させる要因ではありませんが、その原因の一つではあります。
私の持論ではありますが、親知らずの根っこが完成していない10代〜20代で歯並びが変わってきてしまう原因として親知らずの萌出しようとする力というのはあると思います。
しかし、それ以降の年代の方で、歯並びの変化が起こってくるのは、その方の噛み合わせの力や習癖などが原因と考えています。
特に、矯正治療を受けたことがある方は、
後戻りの原因になることもあるため注意が必要です。
リスク④ 口臭の原因になることがある
「しっかり歯磨きしているのに口臭が気になる」
そんな方の原因が、親知らずであることも少なくありません。
親知らずの周囲は、
- 食べかす
- プラーク(細菌のかたまり)
が溜まりやすく、強いにおいの原因になります。
「普段しっかり歯磨きしているのに、なんだか口の臭いが気になる」
「奥歯を磨くと歯ブラシに血がつく」などは物理的に親知らず周囲の清掃ができていない可能性が高いです。
親知らずの生えている場所の性質上どれだけ頑張っても清掃ができないという場合があるので、抜歯して清掃しやすい環境を整えてあげた方が良いと思います。
自分では気づきにくく、
周囲に指摘されて初めて気づくケースも多いです。
リスク⑤ 抜歯が大がかりになりやすい
親知らずは、年齢が上がるほど抜歯の負担が大きくなる傾向があります。
若いうちは、
- 骨がやわらかい
- 回復が早い
ため、比較的スムーズに抜けることが多いです。
しかし放置していると、
- 骨と強くくっつく
- 神経に近づく
- 炎症を繰り返す
といった状態になり、
抜歯が難しくなったり、腫れや痛みが強く出たりする可能性が高くなります。
骨と強くくっついている場合は骨癒着と言い、親知らずの根っこと周囲の骨の見分けがつきにくくなります。
その結果として時間がかかってしまったり、周囲の骨を削る必要が出てくる場合があり、患者さんも術者も大変な思いをします。
また炎症を何度も繰り返していると、歯肉が常に炎症状態になり、麻酔薬がなかなか効きづらいなどのデメリットもあります。
「もっと早く抜いておけばよかった…」
と後悔される方は、実はとても多いです。
すべての親知らずを抜く必要はあるの?
ここまで読むと、
「じゃあ親知らずは全部抜いた方がいいの?」
と思われるかもしれません。
答えは、ケースバイケースです。
- まっすぐ生えている
- きちんと歯磨きできている
- 炎症や虫歯がない
- 完全に骨や歯茎に埋まっている状態
このような親知らずは、
必ずしも抜く必要はありません。
大切なのは、
「放置していい親知らずかどうか」を歯科医院で正しく判断することです。
まとめ|「今は痛くない」が一番危ないことも
親知らずは、
症状が出てからでは遅いことがある歯です。
✔ 今は痛くない
✔ 忙しくて後回し
✔ 抜くのが怖い
こうした理由で放置している間に、
知らないうちにリスクが進んでいることもあります。
一度レントゲンを撮って、
- 抜いた方がいいのか
- 様子を見ていいのか
を確認するだけでも大きな安心につながります。
歯科医師の現場として本音でお話しさせていただくと
レントゲンやお口の中を見て、この親知らずは抜いた方が良さそうだな〜という親知らずがあった場合には、必ず患者さんに、「いずれこの親知らずは抜いた方がいいですよ〜」というお声がけをしております。
ですが、自分の今回の主訴と関係ないところの場合が多いので、強く親知らずを抜歯しましょう!などとは言いません。
自分のお口の中のことですので、ご自身でちゃんと考えて抜歯の必要性を理解された方に対して適切な処置をすべきと考えておりますので、わからないことはなんでも質問していただいて結構ですし、不安なことに対してはできるだけ解決できるように努力します。
私が大事に考えていることは
少しでも患者さんがお口の中に関心を持ってもらい、より良い健康状態を長く継続させることだと思っています。
これからも地域の皆さんの健康に寄与できるように頑張ります。
親知らずやお口の中のことで気になる方は、
症状がないうちに、ぜひ一度ご相談ください。

