「銀歯の中は虫歯がある」という噂は本当?
銀歯の仕組み・リスク・他の選択肢まで徹底解説
「銀歯の中はほとんど虫歯になっている」
「銀歯は外から見えないだけで中が腐っている」
インターネットやSNS、口コミなどで、こうした噂を目にしたことがある方は少なくないでしょう。
実際、歯科医院でも患者さんから「銀歯って中が虫歯になるからやりかえたほうがいいですか?」と質問されることは珍しくありません。
この記事では、この噂の真相を軸にしながら、
- 銀歯とはそもそも何なのか
- なぜ「銀歯の中は虫歯」と言われるのか
- 銀歯以外の治療の選択肢
- 症状のない銀歯はやりかえた方がいいのか?
といったよくある疑問に一つずつ丁寧に答えていきます。
結論から:銀歯の中に必ず虫歯があるわけではない
まず最初に最も重要なポイントをお伝えします。
「銀歯の中は必ず虫歯になっている」というのは事実ではありません。
きちんとした治療が行われ、定期的なメンテナンスがされていれば、10年、20年と問題なく使えている銀歯も数多く存在します。
ただし一方で、
銀歯は“二次虫歯(再発虫歯)”のリスクが比較的高い
というのも、歯科医学的に見て事実です。
この「必ずではないが、起こりやすい」という点が、噂の正体だと言えるでしょう。
実際私も臨床上銀歯を外して治療することが多いですが、私の体感ですが、銀歯の被せ物の中の半分以上は大なり小なり虫歯になっていることが多いです。(あくまで個人の意見です)
そもそも「銀歯」とは何か?
一般的に「銀歯」と呼ばれているものは、正式には金銀パラジウム合金という金属で作られた詰め物・被せ物です。
銀歯の主な特徴
- 健康保険が適用される
- 強度が高く、奥歯の噛む力に耐えやすい
- 長年にわたり日本で広く使われてきた
- 見た目は銀色で目立ちやすい
特に奥歯の被せ物治療では、今でも多く選ばれています。
海外では金属アレルギーなどの問題から、このいわゆる銀歯はほとんど使われておりません。
なぜ「銀歯の中は虫歯」と言われるのか?
① 二次虫歯(再発虫歯)が起こりやすい
銀歯の最大の弱点は、歯と銀歯の境目です。
どんなに精密に作っても、
- 保険診療における時間制約の限界
- 経年劣化による接着剤(セメント)の溶解
- 歯の汚れ(歯垢、プラーク)の付きやすさ
などの影響で、ミクロの隙間があります。
この隙間に細菌が入り込むと、外から見えないまま虫歯が進行します。
これが「銀歯の中で虫歯が進む」正体です。
これは銀歯という材質が悪いというわけではありません。
例えば保険診療で与えられる診療報酬は国によって定められています。
その報酬に見合った時間内に銀歯を作成しないと歯科医院や歯科技工士(銀歯を作る人)は仕事をすればするほど赤字ということになります。
そして残念ながら国の銀歯への報酬は高くありません。むしろ現在で言えば金属価格の高騰により、銀歯を作れば作るほど歯科医院は赤字となることも少なくありません。
そうなるとミクロの隙間がないように精巧な銀歯を作ることはできませんから、結果として隙間がセメントによって補完されるようなものができており、そこから再度虫歯ができてしまうということです。
② 見た目では分からない
銀歯は金属なので、中の歯の状態を肉眼で確認することができません。
- 痛みが出るまで気づかない
- 見た目は問題なさそうに見える
結果として、「外したら中が虫歯だった」という経験談が広まり、噂として定着しました。
実際レントゲン上や見た目でも問題なくても、外してみると虫歯があり追加処置が必要になるということは多いです。
③ 昔の治療ほどリスクが高い
10年以上前の治療では、
- 今ほど精密な型取りができなかった
- 接着技術が未発達だった
という背景があります。
そのため、古い銀歯ほど二次虫歯のリスクが高い傾向があります。
ですが、古いからといって虫歯が必ずあるというわけでもありませんので、イタズラに外してみるというのはできないのです。
銀歯は本当に悪者なのか?
結論から言えば、銀歯=悪い治療ではありません。
銀歯のメリット
- 保険適用で費用を抑えられる
- 非常に丈夫で割れにくい
- 奥歯の強い噛み合わせに向いている
問題は「銀歯そのもの」ではなく、
保険診療でできる精度・メンテナンスしずらさにあります。
銀歯以外の治療の選択肢
近年は、銀歯以外にも多くの選択肢があります。
① セラミック
- 見た目が天然歯に近い
- 汚れがつきにくく、二次虫歯リスクが低い
- 金属アレルギーの心配がない
デメリットは自費診療で費用が高い点です。
当院ではクラウン(被せ物)の場合1歯80000円と設定させていただいております。
② CAD/CAM冠(白い保険の被せ物)
- 一部の奥歯にも保険適用
- 見た目は白い
- 金属不使用
ただし、銀歯より強度がやや劣るため、噛み合わせによっては不向きな場合もあります。
CAD/CAM 冠はプラスチックで、できています。
プラスチックには顕微鏡レベルで見た際に細かい穴が空いてます。その穴の部分に歯垢やプラークが付着しやすい状態になります。
残念ながら虫歯になりにくい治療とは言えないでしょう。
③ ゴールド(金合金)
- 適合精度が非常に高い
- 二次虫歯のリスクが低い
- 奥歯に適している
見た目が金色である点と、自費診療である点がデメリットです。
金歯は金属の被せ物ですが、保険診療でできる銀歯と違い、技工士さんが金歯の作成に時間をかけることができるため非常に精度を高くすることができます。
また金歯は金属アレルギーを引き起こしにくいので、その辺りも安心です。
金歯の硬さは天然の歯と同じぐらいの硬さですので、自分の歯と同じようにすり減りながら噛み合わせが合ってくるので良い治療法だと思います。
よくある質問①
「症状のない銀歯はやりかえた方がいい?」
これは非常によくある質問です。
「この銀歯何十年前にやったので、そろそろやりかえたいんですが…」
基本的には、問題がなければ無理にやりかえる必要はありません。
むしろ保険診療において虫歯でない歯を治療することは禁止されております。
ですので保険の銀歯→保険外診療のセラミックや金歯に変える以外では
治療の必要性が認められない限り、安易に銀歯を外して再度銀歯や保険診療のCAD/CAM冠に変えることは違法行為とも言えます。
現実的にはグレーなところかもしれませんが…
ただし、以下の場合は検討する価値があります。
- レントゲンで怪しい影がある
- 金属アレルギーがある
不安な場合は、定期検診で歯科医師に相談するのが最善です。
よくある質問②
「銀歯の下の虫歯は防げる?」
完全にゼロにすることは難しいですが、リスクは下げられます。
- 定期検診(レントゲン含む)
- 銀歯の境目を意識した歯磨き
- フロスや歯間ブラシの使用
予防と早期発見が何より重要です。
まとめ:噂に振り回されず、正しい知識を
- 銀歯の中が必ず虫歯になるわけではない
- 二次虫歯のリスクは確かに存在する
- 適切な管理で長く使える
- 選択肢は一つではない
大切なのは、「銀歯=危険」と決めつけることではなく、
自分の口の中の状態を正しく知ることです。


