高齢者に虫歯が急増するリスクとは?〜原因と今日からできる予防法〜
「子どもの病気」というイメージが強い虫歯ですが、近年は高齢者の虫歯が急増しています。実際、歯科医院の現場では「若い頃は虫歯がなかったのに、60代・70代になってから一気に増えた」
「今まで歯が痛くなったことがなかったが、歯医者にいくと虫歯がたくさんあると言われた」という患者さんも少なくありません。
高齢期の虫歯は、進行が早く、気づいた時には大きく歯を削らなければならないケースも多いため、早期の理解と予防がとても重要です。今回は患者さん向けに、高齢者に虫歯が増える原因と、今日から実践できる予防法について分かりやすく解説します。
高齢者に虫歯が増える主な原因
① 唾液の量が減る(ドライマウス)
唾液には、
- 食べかすを洗い流す、停滞させない
- 虫歯菌の増殖を抑える
- 歯を修復する(再石灰化)
といった重要な働きがあります。しかし加齢や服用しているお薬の影響で、唾液の分泌量が減少しやすくなります。
特に、血圧の薬・睡眠薬・抗うつ薬などを服用している方は、口の中が乾きやすくなり、虫歯のリスクが一気に高まります。
唾液の分泌量が減ることにより、お口の中が乾燥傾向になります。お口の中が乾燥していると、歯の表面などに食べカスや歯垢(プラーク)がくっつきやすくなってしまいます。
歯垢(プラーク)は細菌の塊ですし、食べカスは虫歯菌や歯周病菌が活動するための餌となってしまいます。
その結果として、虫歯菌や歯周病菌の活動が活発なお口の中の環境を作ってしまうことになります。
② 歯ぐきが下がり「根元の虫歯」が増える
年齢とともに歯ぐきは少しずつ下がっていきます。すると、**本来は歯ぐきに覆われていた歯の根元(歯根)**が露出します。
この歯根部分は、エナメル質という硬い層がなく、虫歯に非常に弱い構造をしています。そのため、
- 痛みが出にくい
- 気づいた時には進行している
といった特徴があり、高齢者の虫歯で最も多いタイプです。
厳密に言えば、歯茎が下がっていくのは加齢の変化ではありません。高齢者になれば必ず歯茎下がりが起こるとは言えないのです。
歯茎下がりが起こる要因としては、歯周病の進行が見られる。もしくは噛み合わせの力などが強くかかり、歯の根本のエナメル質が欠けたりヒビが入ったりすることがあります。
そこから虫歯が進行するので、あまり自分では歯に穴が空いたという自覚がないまま進行してしまいます。
③ 被せ物・詰め物の劣化
過去に治療した銀歯や被せ物は、10年・20年と経過すると劣化していきます。わずかな隙間から細菌が入り込み、内部で虫歯が進行する「二次虫歯」が起こりやすくなります。
見た目では分かりにくいため、定期的なチェックを怠ると、大きな治療が必要になることもあります。
被せ物や詰め物は入れた時、装着時はピタッとフィットしていても、自分の歯と詰め物や被せ物の移行部の薄い歯質の部分が割れてしまったり段差ができたりすることで清掃性が低下し、結果として詰め物被せ物で治した歯のふちからさらに虫歯になってしまうことがあります。
④ 歯みがきが難しくなる
高齢になると、
- 手先の細かい動きが難しい
- 視力の低下で磨き残しに気づきにくい
- 入れ歯やブリッジが増える
といった理由から、セルフケアの質が低下しやすくなります。その結果、プラーク(歯垢)が溜まり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
体は健康でも手先が思うように動いていなかったり、磨いている時間は長いのに、実際は同じ部分ばかりブラッシングしていて、肝心な歯の根本など虫歯の後発部位に歯ブラシの毛先が当たっていないなどが高齢者の虫歯ができてしまう要因です。
⑤ 食生活の変化
「食事量が減ったから大丈夫」と思われがちですが、
- 甘い物を少量ずつ頻繁に食べる
- 飴や砂糖入り飲料を口にする時間が長い
といった習慣は、虫歯菌にとって非常に好条件です。特に間食の回数が多い方は注意が必要です。
働いていた頃より食生活の時間が不規則になり、ちょっとした甘いものやお口の中に長く食べ物を入れている時間が長くなることで虫歯のリスク(カリエスリスク)が高くなります。
高齢者の虫歯を防ぐための予防法
① フッ素を積極的に活用する
フッ素には、歯を強くし虫歯を防ぐ効果があります。高齢者こそ、
- 高濃度フッ素配合歯みがき剤
- 歯科医院でのフッ素塗布
を積極的に取り入れることが大切です。
特に歯科医院でのフッ素は非常に高濃度で9000ppmとされています。
現状家庭用の歯磨き粉は1500ppmが上限となっておりますので、定期的に歯科医院でのフッ素の取り込みを行い歯質を強化することで、虫歯の発生及び進行を遅らせることができます。
② 唾液を増やす工夫をする
- よく噛んで食べる
- キシリトールガムを噛む
- 口の体操やマッサージを行う
これらは唾液分泌を促す効果があります。口の乾燥が気になる方は、保湿ジェルやスプレーの使用もおすすめです。
③ 歯科医院での定期検診を続ける
痛みがなくても、3〜6か月に1回の定期検診を受けることで、
- 初期の虫歯の発見
- 被せ物の劣化チェック
- クリーニングによる予防
が可能になります。高齢期ほど「治療より予防」が重要です。
特に虫歯に関しては早期発見と早期治療が大切になります。
大きな虫歯になればなるほど、ご自身の歯が無くなっているということになります。ですのでできるだけ自分の歯を温存するためには虫歯になるべくならない、もしくは虫歯を早く治療するということが大事です。
④ 無理のないセルフケアを選ぶ
電動歯ブラシや、歯間ブラシ・フロスなど、ご自身に合った清掃器具を使うことで、無理なく清潔を保てます。使い方が分からない場合は、歯科医院で指導を受けましょう。
まとめ
高齢者の虫歯は、
- 唾液の減少
- 歯ぐきの後退
- 過去の治療跡の劣化
といった年齢特有の原因が重なって起こります。しかし、正しい知識と予防を行えば、防ぐことは十分可能です。
「もう年だから仕方ない」と諦めず、一生自分の歯で食事を楽しむために、今できるケアを始めていきましょう。気になることがあれば、いつでも歯科医院にご相談ください。
大阪府枚方市の北川歯科医院では、さまざまなご年齢の患者さんに支持されており、お口の口腔ケアから日々のお口の環境改善のために通院されている方が多くいらっしゃいます。


