歯周病は“痛くない病気”!?放置が危険な理由と早期発見のポイント


はじめに

「最近、歯ぐきが腫れてる気がするけど、痛みもないし大丈夫かな?」
「歯ブラシをしたら、ブラシのところに血がついてる」
そう感じたことはありませんか?

実はその“痛みがない”というのが、**歯周病(ししゅうびょう)**の一番怖い特徴です。
歯周病は自覚症状がほとんどないまま、静かに進行していく病気。
冷静に考えて体の一部から出血している状態が長く続いているって異様な状況なはずなのですが、毎日そういった状況が継続しているので、いつの間にか歯茎が腫れていたり、出血している状態が当たり前になっているということがあります。
症状に気づいたときには歯を支える骨が溶け、抜歯せざるを得ない状態になっていることも少なくありません。

今回は、そんな「痛くないのに危険な歯周病」について、
放置するとどうなるのか、早期発見・予防のためにできることを、わかりやすく解説します。


1. 歯周病とは?実は“国民病”ともいわれる理由

歯周病とは、歯を支えている歯ぐきや骨(歯槽骨)に炎症が起きる病気です。
原因は、歯の表面に付着するプラーク(細菌のかたまり)、歯石です
歯ブラシで落としきれなかったプラークが歯と歯ぐきの間にたまり、炎症を起こしたり、歯石という歯の汚れの硬くなってしまったものが歯の表面や歯茎のポケットの中についていきます。

進行段階は大きく3つあります。

  1. 歯肉炎(しにくえん):歯ぐきが赤く腫れる、ブラッシングで血が出る段階。
  2. 軽度〜中等度歯周炎:歯を支える骨が少しずつ溶け始め、口臭や歯ぐきの下がりが出てくる。
  3. 重度歯周炎:歯がぐらつく、噛むと痛い、最終的には歯が抜け落ちる。

そして驚くべきことに、40歳以上の約8割が何らかの歯周病にかかっているといわれています(厚生労働省調査より)。
まさに「国民病」と言っても過言ではありません。


2. なぜ痛くないのに進行するの?

虫歯の場合は、歯に穴が空いたり、歯が欠けたり、見た目でもわかりやすいですし、神経の近くまで細菌が進むと歯がしみたり、ズキズキと激しい痛みを感じます。
一方で歯周病は、炎症が歯ぐきや骨の周辺でゆっくり進行するため、痛みの神経に直接触れにくいのです。

さらに、日常的な「違和感」を軽視してしまうことも進行を早める要因です。

例えばこんなサイン、思い当たりませんか?

  • 朝起きたときに口の中がネバつく
  • 歯ブラシに血がつく
  • 歯ぐきが下がって歯が長く見える
  • 硬いものを噛むと違和感がある
  • 口臭が気になる

これらはすべて歯周病の初期症状
ところが、痛みがないために放置してしまい、気づいたときには手遅れになっているケースが非常に多いのです。
歯科医院は痛くなったり、詰め物が取れたりしたら行くところ、そういう認識をしている方が一定数いらっしゃいます。実は虫歯にしても歯周病にしても、早期発見早期治療が、あなたの歯の寿命をできるだけ長く延ばす秘訣なのです。


3. 歯周病を放置するとどうなる?

歯周病を軽く見て放置してしまうと、口の中だけでなく全身にも悪影響を及ぼします。

(1)歯を失うリスク

歯周病は、日本人が歯を失う原因の第1位です。
歯ぐきの奥にある骨(歯槽骨)が溶けていくと、歯を支えられなくなり、最終的に抜け落ちてしまいます。
一度失われた骨は自然には戻りません。
そして歯周病で周りの骨がたくさん溶けてしまうとその隣り合う歯を支える骨も溶けてしまい、周囲の歯もグラグラして抜け落ちてしまう可能性が増えてしまいます。
放置した結果、複数本の歯が残せない状況になっている場合もあります。

(2)糖尿病との深い関係

近年の研究で、歯周病と糖尿病は相互に悪影響を及ぼすことがわかっています。
歯周病の炎症によって出る物質(サイトカイン)が血糖値のコントロールを悪化させ、
逆に糖尿病があると感染しやすく、歯周病が進行しやすくなります。
糖尿病の状態が良くなると歯周病が安定し、逆に歯周病の病態が安定すると、糖尿病の数値も良くなったという報告もあります。

(3)認知症や心疾患のリスク

さらに、歯周病菌が血流を通じて全身に回ることで、
認知症・動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞などのリスクを高めるという報告も。
つまり、歯周病は「口の中だけの問題」ではなく、全身の健康に直結する病気なのです。


4. 歯科医院でできる検査と治療

歯周病は、歯科医院での定期的な検査と早期治療が何より重要です。

(1)検査内容

  • プロービング検査:歯ぐきのポケット(歯周ポケット)の深さを測る検査。この深さによって歯肉の炎症状況や歯周病の進行状況を確認します。正常な歯肉の状態は1~3mm程度です。それ以上にポケットが深くなると歯周病という診断になります。
  • 出血の有無チェック:炎症の度合いを確認。この検査は非常に優しい力(約20g程度)で行います。つまり軽く触れただけで歯茎から出血する状態という場合歯肉に炎症が見られるという診断になります。
  • レントゲン検査:骨の吸収状態を確認。見た目だけでは診断できません。歯肉に見た目で炎症がなくても、骨の吸収が顕著な場合もあります。特にタバコを吸っている方は、歯茎の血管が収縮し、見た目は歯肉の腫れや出血が少ないという場合がありますが、実際レントゲンで確認すると骨の吸収と歯周病の進行が認められる場合があります。

これらを組み合わせることで、現在の進行度を正確に把握できます。

(2)治療内容

  1. スケーリング(歯石除去)
     歯ブラシでは落とせない歯石(固まったプラーク)を専用器具で除去します。
     主に超音波を使って振動させ、歯石のみを砕いて取っていきます。
     歯石は歯ブラシでは取れない汚れの塊になっていますので、歯石を頑張って歯ブラシなどで取ろうとしないようにしましょう。
  2. SRP(スケーリング・ルートプレーニング)
     歯周ポケットの奥まで入り込んだ汚れを徹底的に清掃し、歯の根の表面をなめらかにします。
     この歯肉縁下のポケット内に入り込んだ歯石を残しておいてしまうと、定期検診に通っていても歯周病が徐々に進行してしまうリスクがあります。
  3. 歯周外科治療
     進行した場合は、歯ぐきを開いて奥の歯石を取り除く手術を行うこともあります。
     患者さんのお身体の状態や、噛み合わせなどさまざまな要因によって歯周外科治療を行うかを決定します。
  4. メインテナンス
     治療後は再発防止のため、3〜6か月ごとの定期的なクリーニングが大切です。
     歯周病治療は一度やれば終了ではありませんが、一度安定した状態を作れば、あとは安定させていくことだけで大きな治療をするリスクが下げられるのが良いところです。

5. 自宅でできる歯周病予防法

歯周病を防ぐには、日々のセルフケアも欠かせません。

(1)正しいブラッシング

毛先を歯と歯ぐきの境目に45度の角度で当て、やさしく小刻みに動かしましょう。
力を入れすぎると歯ぐきを傷つけてしまうので注意です。
自分では”磨いてるつもり”が一番危険です。というのも、磨き残しがある部分というのはいつも同じところであることが多いです。
その結果として、同じところが何度も虫歯になったり、歯周病の進行が起こってしまいます。
定期的に歯科衛生士さんに確認してもらうことが大切です。

(2)デンタルフロス・歯間ブラシの活用

歯ブラシだけでは落とせない歯と歯の間の汚れをしっかり除去。
毎日の使用が理想ですが、週に2〜3回からやってみましょう。

(3)禁煙

喫煙は歯周病の最大のリスク要因のひとつ。
血流が悪くなり、炎症に気づきにくくなるため、治りも遅くなります。

(4)バランスの取れた食事と睡眠

免疫力が落ちると歯周病菌に負けやすくなります。
栄養バランスと休息も、予防には大切です。


6. 歯周病を防ぐ最大のポイントは「定期検診」

どんなに丁寧に磨いていても、歯石は少しずつ蓄積していきます。
それを取り除けるのは歯科医院だけです。

理想は3か月に一度の定期検診
初期の段階で見つければ、痛みも少なく、短期間で治療が終わります。

「痛くなったら行く」ではなく、
「痛くなる前に行く」のが、歯周病から自分の歯を守る最大の秘訣です。


まとめ

歯周病は「痛くない」からこそ怖い病気。
気づかないうちに進行し、歯だけでなく全身の健康にも悪影響を及ぼします。

しかし、早期発見と正しいケアを続ければ、歯を守り、健康寿命を延ばすことができます。
毎日のセルフケアに加えて、定期的に歯科医院で検診・クリーニングを受けるようにしましょう。

歯ぐきの腫れや出血、口臭など気になる症状がある方は、
「痛くないから大丈夫」と思わず、早めの受診をおすすめします。

枚方市の北川歯科医院では、歯周病の説明からご自身にあったブラッシング方法などのセルフケアのポイントなどをお伝えしております。
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